異世界[恋愛]
『お姉様は私が嫌いなのだと思っていました』——妹が遺された刺繍の裏を返した日、そこには千を超える縫い目で、自分の名だけが綴られていた
妹のエルフィは、ずっと姉のヴィオラに嫌われていると思っていた。冷たい目、そっけない言葉、決して褒めてくれない刺繍。家中が「出来損ないの姉」と「愛らしい妹」と呼ぶなかで、姉だけが妹の幸福から半歩退き続けた。妹が嫁いだ朝、姉は誰にも告げず家を出る。数年後、訃報とともに妹の手元へ届いた、姉が遺した一枚の刺繍布。その裏地を返したとき——表の冷たい幾何文様の裏に、千を超える細かな縫い目で、ただ妹の名だけが綴られていた。失われた姉の手の意味を、妹が読み解くのは、いつも後になってから。
異世界転生
短編
2026/06/08 19:00更新
14,545字 44%
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最終取得日時:2026/09/22 12:11
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