かつて家族を失い、すべてを捨てた元・貴族の少女――レイナ。
彼女は今、辺境の街で魔力と技巧を組み合わせる魔導技士としてひっそりと暮らしていた。

そんな彼女のもとに現れたのは、国家ですら手を出せない《違法魔導具》の製作依頼。
依頼者の男が匂わせる、一夜だけ出会った“棺を背負う男”、ユリウスという青年の存在。

「なぜ、その名前を……？」

戦場で出会い、言葉を交わしたのも僅か。
しかし、そんなユリウスの存在が、レイナの内に秘める何かに呼応する。
死にゆく人間に言葉を囁くユリウスに見出すものとはーーーー

◆封印された過去
◆消された記憶
◆蘇る禁忌の魔導技術

「私は、もう二度と……誰かを失いたくない」

これは、死者の声を繋ぎ、生者の未来を取り戻す青年と、魔導技士の少女が織りなす魔導ファンタジー。