侯爵令嬢セシリア・ヴァストは、処刑回避のため、三〇〇年誰も開けずにいた封印魔術古書『深園の書』の封印解除に成功。本の名から＜深園の解錠師＞の称号を得る。セシリア・リドルの偽名で。

本当は、王家も魔術師も関わりたくない。特に“前々世”の婚約者。セシリアを処刑した元第二王子の魔塔主クリストファーとは絶対に。
ここは、“前世”で読んだ鬱展開小説の世界。
なぜか年齢が違い、クリストファーとの出会いも婚約も回避されたけど、死ぬ間際に見た彼の目と出戻った世界が怖い。

「このまま……別ルート人生を平穏に生きたいっ」

セシリアは知らなかった。
彼女にとってはほんの少しの違いが、どれほど大きな変化を起こしていたのかを。

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これは願いと祈りに改変された物語――悲劇回避に必死な元王子と、肝心な記憶は忘れた出戻り転生令嬢のお話。