ヒューマンドラマ[文芸]

思春期

 中学校に入学して日がそう経たないうちに父親の仕事の都合で引っ越しをした山田は、再び父親の仕事の都合で以前住んでいた町に戻ってきた。
 担任の先生の合図を待ち、教室のドアの前に立っている山田は、ふぅと息をつく。 
 ……左遷か栄転か、平凡な会社員にしか見えない父にも、もしかしたらテレビドラマのような展開があったのかもしれないけど、まあ、わからないし、この中学三年生という受験やら何やら忙しない時期で正直迷惑。でも、馴染みのある中学一年生の頃に通っていた学校に戻って来られたからマシだと思おう。先生や友達の顔を覚えているし――えっ
 
「えー、と、いうわけで、この通り、山田が帰ってきた! みんな、拍手!」

「おかえりー!」
「お、おかえり山田!」
「おかえりー!」
「ウェルカムバアァァク! 山田!」
「ふぉおおおう!」

「じゃあ席に。お、そうだ、川西の隣が空いてたな。あそこに座りなさい」

「え、いや、あの、え」

ショートショート
短編 2024/05/10 11:00更新
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最終取得日時:2025/07/09 12:28
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