ヒューマンドラマ[文芸]
嫌がらせが人の形をして息をしている。何か問題でも?
お前は、生きているだけで「嫌がらせ」になるんだ。
面白くて、笑いが止まらないな。
* * *
ヘンリーの「父親」であるミルズ侯爵は、大変邪悪な人間である。
ミルズ侯爵は、政略で結ばれた妻に興味を示さず、とある貴族夫人との関係にのめりこんだ。愛情のない生活に長年耐えていた侯爵夫人は、結婚から十年過ぎた頃、破れかぶれとなり自分もまた「火遊び」をする。
その時期に生まれたのが、ヘンリーだった。
夫人は出産に命を使い果たし、息子の生まれに関して自らの言葉で語る前に死んだ。
社交界のゴシップ好きから、侯爵家の使用人や出入りの業者に至るまで、誰もがヘンリーの父はミルズ侯爵ではないと知っていた。
しかし、ミルズ侯爵はヘンリーを嫡子として認めた。
正妻が産んだ最初で最後の子であるからして、侯爵家の跡継ぎとして遇するのは当然であると、内外に示したのだ。
結婚以来、死ぬまで妻を顧みることもなかった男が、ついに情を示したのか?
そうではなかった。
ミルズ侯爵は、自分の弟や甥のことが大嫌いだったのだ。彼らに対しての嫌がらせとして、ヘンリーが生きることを認めたのだった。ヘンリーはそう信じていた。
*他サイトにも公開しています。
行き届いた教育 / 情熱の詩人 / バラ色の人生 / 百年後の詩集のために / ブロマンス
短編
2025/08/10 20:05更新
8,000字 36%
8,000字 36%
日間P
1,706
総合P
10,582
ブクマ
320
平均評価
8.77
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
354.38%
評価P
9,942
評価者数
1,134
週間読者
-
日間イン
5回
ベスト
9位
最終取得日時:2025/08/15 12:05
※googleにインデックスされているページのみが対象です