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_mon_mon_ 2026/09/06 公開 2026/09/06 14:00 更新
比較言語学者の岬(みさき)は、大学の資料室から瞬きひとつで異世界の玉座の間に立っていた。「賢者」召喚の儀式は失敗したと王宮は青ざめるが、岬はすぐに気づく――読み上げられている召喚契約書の訳が、そもそも間違っている。宮廷主席通訳グレアスの訳では「永久の隷属」、正しい活用形で読めば「対等の契約」。岬はその場で自分の訳に基づいて署名し、異世界での立場を自ら勝ち取ってしまう。以来、岬は帳簿の一語、外交文書の一語、神託の一語――誤訳ひとつで誰かの運命が変わる現場に何度も立ち会い、そのたびに正しい訳を突きつけて結果を覆してきた。だがある日、岬は見つけてしまう。四十年前の建国条約の核心条項も、グレアスによって意図的にねじ曲げられたままだと。隣国へ払い続けてきた「贈り物」の正体は、彼が守り抜いてきた大掛かりな嘘だった。条約更新の式典で、岬は最古の写本を手に、王と両国の使節団の前に立つ。
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