「虚空に向かってブツブツ呟くような不気味な女は、俺の隣にふさわしくない！」

　伯爵令嬢ルナは、婚約者である第二王子カイルから婚約破棄を言い渡される。
　ルナには「守護霊が見える」という秘密があった。彼女が呟いていたのは、カイルの背後に憑いている最強の戦乙女・ブリュンヒルデをなだめるためだったのだが……それを知らないカイルは、自分の強さを「聖なる加護」だと勘違いし、ルナを北の辺境へと追放してしまう。

　しかしその瞬間、愛想を尽かした戦乙女もカイルを見限り、ルナについてきてしまったのであった。

　北の辺境伯ベルンハルトのもとへ嫁いだルナを待っていたのは――。

「…………（ジロリ）」
『うっひょオオオ！　嫁が可愛すぎて心臓止まるか思たわ！　一生大事にするから結婚してくれェェェ！！』

　無口で強面な旦那様と、その背後で気持ちを代弁し、ツッコミするハイテンションなエセ関西弁守護霊だった。

　一方、最強の守護霊を失ったカイルは……。