『いらない』と言われた令嬢の幸せ物語 ~うちの子なので返しません、と魔王様がご立腹です!~
リュシエールは、生まれた時から魔力の巡りが悪く、呼吸することすら辛い状態で、周囲の人から「魔力ナシの立たず」と蔑まれて「ホワイト」という蔑称で呼ばれ、誰からもお荷物扱いされていた。
魔族と人間の争いが続いている中、停戦するための条件として「これ以上の争いは双方疲弊しかない。友好の証に人間界の代表者が、魔族と婚姻を結ぶことで和平の証とする」とされ、人間側から「ホワイト」のリュシエールが差し出された。
――お荷物だから、捨てられてしまうのね。
てっきり飼い殺しにでもされるとばかり思っていたが、魔界に行った途端、呼吸もしやすいし魔法も使えてしまう、という状況にとても驚いたリュシエール。
加えて、彼女の容姿も変化した。なんと、全く別物だが魔王曰く「これが本来の髪と目の色だ」ということ……らしい。
リュシエールは「始祖」とされる魔族の血も引いていて、魔族と人間、両方の種族の性質を持つハイブリッドな存在であった。
貴重な存在、というだけではなく、ハイブリッドな存在故に魔力量も桁違いだったり、人間界と魔界、それぞれ適応しやすい姿で過ごすこともできてしまう、という能力まで持っており、魔族の皆に重宝されていく。
一方、人間側ではリュシエールがどれだけ惨めな生活を送っているのかと笑っていた。
だがしかし、戦争が無ければ人間界では経済がうまく回らないかも……? という何とも安直な理由で、魔王夫妻を招待することにした人間界の王族――もとい、かつてのリュシエールの家族たち。
何かしら理由をつけて、戦争のきっかけさえ作ってしまえば良い、そう思っていた家族たちは、魔王夫妻の到着を今か今か、と舞っていた。
魔王夫妻を招待した場で不義理を働いてしまった結果、リュシエールからも拒絶され、彼女を溺愛している魔王の怒りも買ってしまい、元・家族は破滅へと追いやられていくのであった――。
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