現実世界恋愛 完結・全30話

私の幼なじみの自認がうさぎなんだけど…

花田一郎 2026/07/29 公開 2026/09/11 12:10 更新

あらすじ

「私、うさぎなんだよね」

草野陽菜多は、幼い頃から真顔でそう言い続けている。

もちろん、耳や尻尾が生えているわけではない。どこからどう見ても普通の女子高生だ。それでも、葉物野菜を小さな口でかじり、大きな音に驚けば幼なじみの背後へ隠れ、狭くて薄暗い場所を見つけては段ボールの“巣穴”を作る。物静かでクールに見える彼女は、どうにも本気でうさぎらしい。

そんな陽菜多の幼なじみ、森田奈緒は、ぶっきらぼうだけれど世話焼きな少女。毎朝起こしに行き、お弁当を用意し、人見知りの彼女に代わって会話をつなぐ。周囲から「飼育係」と呼ばれるたびに否定するものの、陽菜多を放っておけないのには理由があった。

奈緒にとって陽菜多は、ずっと忘れられない初恋の相手なのだ。

一方の陽菜多も、「うさぎは寂しいと死んじゃうから、一生面倒を見てね」と奈緒に甘え、彼女の隣を一番安心できる巣穴にしている。近すぎる二人の関係は、幼なじみのままなのか。それとも、とっくに別の名前へ変わっているのか。

そんなある日、陽菜多は学校の空き教室に巣穴を作ってしまう。勝手な教室利用から始まった巣作りは、自認がカニの陽気な少女、ハムスターのように臆病な後輩、善意で突っ走る教師まで巻き込み、なぜか「生物進化研究会」という怪しい同好会へ発展していく。

真顔で繰り出されるうさぎ理論。カニこそ進化の究極形態だと訴える友人。次々と増える巣穴に、常識人のはずなのに誰より深く巻き込まれていく奈緒。

けれど、最初は陽菜多ひとりが逃げ込むために作った巣穴も、いつしか誰かが安心して休める居場所になっていく。陽菜多を守っているつもりだった奈緒もまた、彼女に支えられていたことに気づき始める。

誰にだって、疲れたときに帰れる巣穴が必要だ。

これは、自認がうさぎの少女と、その飼育係を否定しきれない幼なじみが、笑って、寄り添って、互いの帰る場所になっていくまでの百合ラブコメ。

※この小説はカクヨム、アルファポリスにも掲載しています。

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