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せん猫 2026/08/01 公開 2026/10/31 20:00 更新
2027年、日本にいた美帆が扉の先で出会ったのは、異世界へ転移した保護猫カフェ「ねこオアシスオハナ」だった。
そこには、さまざまな事情を抱えた猫たちが暮らしている。
初対面のお客様の膝へ乗る21歳のクッキー。右目を失っても人を信頼するテプ。8匹の一家を静かに見守る母猫リリー。そして、人には近づけなくても、怖がる猫たちには寄り添える福。
猫は言葉で過去を語らない。
なぜ人を怖がるのか。
なぜごはんを食べないのか。
なぜ触れようとすると逃げるのか。
それでも、表情やしぐさ、食事など普段の生活の小さな変化は、猫が懸命に伝えている言葉なのかもしれない。
新しい猫の保護、感染症検査、病気や怪我のケア、高齢猫の介護、譲渡と1か月のトライアル。そして、ときには避けることのできない別れ。
美帆は猫たちと過ごしながら、保護することは、ただ命を助けることではないと知っていく。
怖がる猫が初めて目の前でごはんを食べた日。
触れられなかった猫が、そっと尻尾を寄せてきた日。
新しい家族のもとへ送り出した猫が、再びオハナへ帰ってきた日。
そして、大切な命を腕の中で見送る日。
そのすべてが、猫と人が家族になっていく時間だった。
一方、世界各地から来た転移者たちは、地球では同じ瞬間に姿を消しながら、異世界では異なる時代と場所へたどり着いていた。
なぜ彼らは呼ばれたのか。
なぜ猫たちまで異世界へ来たのか。
白い猫と古い扉は、何をつなごうとしているのか。
体長1メートルほどもあるケットシーのデンは、何かを知っているようだが、肝心なことは話してくれない。
世界の謎が少しずつ動く日も、猫には毎日のごはんと清潔なトイレ、安心して眠れる場所が必要だ。
これは、特別な力で猫を救う物語ではない。
目の前にいる1匹の猫をよく見て、その声にならない思いを受け取り、今日できることを積み重ねていく物語。
異世界の保護猫カフェ「ねこオアシスオハナ」で紡がれる、猫と人の、優しくて少し切ない日常。
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