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玉蟲 2026/11/04 公開 2026/11/04 15:02 更新
不動産業界で語られる、好条件でありながらなぜか誰の手にも渡らない「隙間」のような土地。
バブル期に官庁が手に入れたまま放置されている都心の空き地を視察するため、主人公の「私」は後輩の女子社員が運転する車で夕方に出発する。
目的地周辺の細い路地に入ると、突如ナビの電源が落ち、2人は道に迷ってしまう。
路肩を歩いていた謎の女性に道を尋ね、「角を右に曲がる」よう教えられた通りに進むと、都心の真ん中には存在するはずのない、果てしなく続く直線道路へと迷い込んでしまう。
異変を感じて引き返そうとするが、道端には先ほど道を教えてくれた女性が再び立っており、車内に向けてニヤリと嘲笑を浮かべる。
恐怖の中アクセルを踏み込むものの、どこを曲がっても異常な直線道路の入口へと戻ってしまい、1時間以上も同じ場所をループし続ける。
運転手の女子社員も蒼白になり、パニック寸前に陥っていた。
思考が麻痺する中、「私」は自らの直感を信じ、「次の角(直線道路の角)を左に曲がれ」と指示を出す。
意を決してハンドルを切ると、唐突に視界が開け、目的地のビルへとたどり着くことができた。
しかし、安堵して車を降り、今通り抜けてきたはずの道を振り返った2人は言葉を失う。
そこには道路など存在せず、鬱蒼とした草が生い茂る目的地の「空き地」が広がっていた。2人は道路を走っていたのではなく、怪異に囚われ、狭い空き地の中をぐるぐると走り続けていたのだ。
後に判明したところによると、その土地はかつて火災で多くの犠牲者を出したホテルの跡地であった。
幾度となく再開発が試みられながらも白紙に戻され続けてきた理由は、土地に残された無念の記憶が今も迷い込む人間を捕らえて離さないからなのかもしれない。
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