ホラー 短編

指の先からサボテンが生えてきたら

孑孑(ぼうふら) 2026/07/23 公開 2026/07/23 20:35 更新

あらすじ

蝉時雨が骨の髄まで響くような、狂おしい猛暑の日だった。
汗で湿った右手の指先に、チクリとした痛みが走る。見下ろすと、人差し指の爪と皮膚の隙間に、緑色の小さな棘が刺さっていた。爪楊枝でほじくろうとした瞬間、棘はズルリと指の奥へ滑り込み、消えた。
翌日、痛みが消えた代わりに、指先が妙に重い。爪の根元を透かしてみると、皮膚の下で何か緑色の固まりが脈打っていた。サボテンだ。あの時刺さったのは棘ではなく、生きた種子だったのだ。
「オート、オート……」
真夜中、耳元で掠れた声が聞こえて目が覚める。声の主は、自分の右腕からだった。腕の皮膚が青裂け、緑色の丸っこい肉茎が皮を破って顔を出している。サボテンは、車が自動運転(オート)で進むように、意識とは無関係に私の肉体を侵食し、骨を土壌にして急速に育っていた。
「オート、オート……」
声の正体は、心臓の鼓動に合わせてサボテンが発する機械的な駆動音だった。血管を吸い上げ、肉を養分にし、私は意志と反してゆっくりと「植物」へ自動変換されていく。逃げようにも、足からはすでに細い根が畳を突き破って伸びていた。
真夏の強い日差しが部屋に差し込む。全身を突き破る無数の棘が、太陽の光を浴びて歓喜の音を鳴らす。
カンカン照りの部屋の中、意識が青緑色の闇に溶けていく直前、私の口からこぼれたのは、人間のものではない乾燥した駆動音だった。
「オ……ト……」
酷暑の部屋にはただ、立派に花を咲かせた人型のサボテンと、響き続けるオートの音だけが残された。

ポイント

総合ポイント 16
日間ポイント 0
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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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ブクマと評価ポイントの推移

10/27〜11/02(7日間)
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1 0 10/27 10/30 11/02
評価ポイント 16+0(7日間)
17 16 15 10/27 10/30 11/02

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/02 0 ±0 16 ±0
11/01 0 ±0 16 ±0
10/31 0 ±0 16 ±0
10/30 0 ±0 16 ±0
10/29 0 ±0 16 ±0
10/28 0 ±0 16 ±0
10/27 0 ±0 16 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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