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種田自由 2025/01/11 公開 2025/01/11 19:00 更新
コンコン。
木の扉をノックする音が、古い石造のアパートの廊下に響く。
ノックの主は少し待ったが、反応がないので再び木の扉を叩く。
コンコン。
さっきとまったく同じリズムで音が鳴った。
コンコン。
コンコン。
コンコン。
「うるせぇな! さっきから! 一体何時だと思ってんだ!?」
足音が近づいてきて、内開きのドアが乱暴に開けられる。
中からは、血管をひたいに浮き立たせた男が現れた。
声色の通り、かなり不機嫌そうに見える。
しかしノックの主が、人の良さそうな笑顔を浮かべた少女であったことが分かると、男は途端に表情を変える。
「……おやおや、シスターさんじゃないですか。こんな時間に一体なんのようで──」
男はニヤケ面のまま、背中から床に倒れた。
シスターが男の喉元にナイフを突き立てたからだ。
死体を踏み越えるとき、シスターからは一切の表情が消えていた。
衝撃音を不審に思ったか、奥のドアから女が現れる。
女はシスターと血の海に沈んでいく男とを交互に見て、顔を引きつらせた。
女が口元に手をやるのと同時に、乾いた音がひとつ鳴り、女は背中から倒れる。
シスターが奥の部屋へと入ると、ふたつの発砲音が鳴った。
再び死体を踏み越え、シスターは外へ出る。
長い芦毛色の髪を揺らしながら歩くシスターの表情は、とても柔和な笑顔だった。
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