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熾星 2026/08/18 公開 2026/08/18 15:01 更新
悠真と正式に婚約してから、私たちは結婚式と、その先の生活のためにお金を貯め始めた。
悠真は福岡のIT企業でシステムエンジニアとして働いている。知り合った頃はまだ普通の開発担当者だったが、この数年で少しずつプロジェクトリーダーを任されるようになり、以前よりずっと忙しくなっていた。結婚資金を貯めるため、悠真は自分名義の預金口座を一つ用意していた。給料日になると、毎月決まって二十万円をそこへ入れる。通帳は家に置いてあり、結婚式や新居、新婚旅行に必要な予算を管理するのは私の役目だった。
悠真はずっと、それが税金や社会保険料、家賃、最低限の生活費を引いたあとに残る、ほぼすべてのお金だと言っていた。
以前、莉奈からこんなことを言われたことがある。
「美月、本当に変だと思わない? 悠真、何年も前から役職は上がってるのに、毎月貯められる額がほとんど変わってないじゃない」
私は式場から届いた資料を整理しながら俯いた。まったく疑わなかったわけではない。ただ、その小さな違和感をわざわざ大きくしたくなかった。
「IT企業だって、役職が上がったからって給料が急に倍になるわけじゃないし。悠真の会社、ここ数年は昇給幅もそんなに大きくないって言ってたから。それに今は案件も多くて、帰りも遅いし」
「私は、毎月ちゃんと貯めてくれてるだけで十分だと思ってるよ」
莉奈はしばらく私を見ていたが、それ以上は何も言わなかった。
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