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ゆーろ 2025/06/23 公開 2025/06/23 11:53 更新
「パンがなければ、作ればいいじゃない――小麦から!」
とある小さな王国では、深刻な飢饉が民を襲っていた。主食であるパンの元、小麦は収穫量が激減し、貴族は倉を閉ざし、農民は痩せた土地で疲弊していく。そこへ、現代日本の高校生が突如として異世界転移を果たす。
目覚めたのは、荒れ果てた畑と泣きじゃくる子供たちの真ん中。混乱する主人公だったが、彼が持ち合わせていたのは、日本で学んだ現代の高等教育で獲得した平凡な教養と、なぜか異世界でも通じる言語能力だった。
「土壌が酸性に偏っている? なら石灰を撒けばいい。窒素固定が不十分? マメ科植物の出番だな」
主人公は、石灰岩から作った消石灰で畑の土を改良し、輪作と緑肥を導入。クローバーや豆を使った肥料循環を築き、痩せた土地を少しずつ蘇らせていく。雨が続けば排水路を掘り、干ばつがくれば簡易な灌漑装置を設ける。種子は選抜交配で収量の高い系統を育て、貯蔵には煙と乾燥を併用してカビを防ぐ。こららの知識はすべて高校の授業で習ったレベル――だが、それはこの世界にとってはまさに“神の技術”だった。
次第に「奇跡の畑」の噂は広まり、王国の農政顧問として迎えられる主人公。だが、彼の改革は既得権益を持つ貴族や教会の反発を招き、命を狙われることになる。
「神の御業に逆らうな」「パンを生むのは祈りだ、知識ではない!」
それでも主人公は、民の飢えを前にして立ち止まらない。中世の常識と現代知識の狭間で、パンを――いや、「生きる糧」をつくる戦いが始まる。
果たして悠真は、この時代に「食べることは生きること」だと伝えられるのか。そして、自らの帰るべき世界への道は開かれるのか――?
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