異世界恋愛 短編

用済みと十一年の毛の束を取り上げられ膠椀を伏せました。お宅の筆、秋の市で値がつきません

真神 慧 2026/08/11 公開 2026/08/11 22:10 更新

あらすじ

「お前の結った筆に、余分な値はつけない。どれも同じ筆だ」——秋の初めの朝、筆市の買い手の前で、主人はわたしの手から毛の束を取り上げた。

毛は束ごとに腰が違う。夏毛は先が痩せるので命毛を一本内へ寄せる。湿りの日は膠を薄く。腰の弱い毛が三本混じれば束ごと外す。柱に貼れるのは毛の匁と膠の割だけで、見分けは全部この頭の中にある。

手間賃は入って半年の若い衆と同額に割り直され、柱には手順が貼り出された。承知しました。どれも同じ筆です。では、わたしの分は結いません。

道具を拭いて棚へ戻し、いつもの位置へ揃えて店を出た。壊しも持ち出しもしない。やめるのは、結うことだけ。

秋の筆市で、あの店の筆にだけ値がつかなかった。書き手が試し書きで首を振り、箱がそのまま返る。誰も怒鳴らない。ただ次の月から、注文が来ない。

自分の店を持ち、初めて自分の名で筆を結んだわたしの前へ「戻ってくれ」と立った主人へ、あの一句をそのまま返す話。

ポイント

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ブクマと評価ポイントの推移

10/29〜11/04(7日間)
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評価ポイント 10+0(7日間)
11 10 9 10/29 11/01 11/04

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/04 1 ±0 10 ±0
11/03 1 ±0 10 ±0
11/02 1 ±0 10 ±0
11/01 1 ±0 10 ±0
10/31 1 ±0 10 ±0
10/30 1 ±0 10 ±0
10/29 1 ±0 10 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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