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冴宮シオ 2021/03/01 公開 2026/05/05 08:00 更新
露崎藍は、自分の暮らす街がずっと嫌いだった。
高校に入って、日常は少しだけ遠くまで広がった。
うまく馴染めない教室。
幼なじみが傍にいない通学路。
広がったはずの世界は、なぜか前より少しだけ息苦しかった。
一学期の終わり。
期末試験も終わり、夏休みが近づいていたある夜、藍は部屋の窓から流れ星を見た。
そして翌日、彼女の前に現れたのは、金色の髪と碧い瞳をもつ少女――マイブリット・ティオ・アンダーソン。
整った容姿、落ち着いた物腰、近寄りがたい雰囲気。
けれど時折見せる不器用な優しさ。
藍は、気づけば彼女に惹かれていく。
だが、マイブリットはただの少女ではなかった。
街では、奇妙な地震が続いていた。
学校関係者の行方不明。
新しくできた商業施設で起こる不可解な異常。
森の奥に消える黒い影。
そして、普通に暮らす人々には知らされないまま処理されていく“何か”。
マイブリットは、それらの異変を追っていた。
彼女のそばには、少女の姿をしたローリィという存在がいる。
幼く見える外見に似合わない口調。
人を食ったような態度。
そして、藍たちの日常とはまるで違う場所から来たかのような知識と判断力。
マイブリットとローリィは何者なのか。
なぜ、この街で起きる異変を追っているのか。
藍の幼馴染である佳波もまた、街の異常に気づき始めていた。
知らないほうが安全なこと。
近づけば傷つくかもしれないこと。
それでも藍は、何も知らないままではいられなかった。
強くもなく、特別でもなく、誰かを守れる力があるわけでもない。
けれど、目の前の誰かを見捨てたくない。
後悔しないほうを選びたい。
嫌いだった街で出会った、ひとりの少女。
その出会いは、藍の日常を少しずつ変えていく。
夏が終わり、二学期が始まる。
また同じ教室で会えるのか。
彼女は本当に、自分の隣にいてくれるのか。
これは、ひとりの少女が、普通ではない少女達と出会い、
あいまいだった自分の世界の輪郭を、少しずつ確かめていく物語。
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