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空飛ぶ鯨 2025/07/24 公開 2025/07/31 13:00 更新
東京の片隅、どこにでもある平凡な街・朝来坂(あさぎざか)。
だが近ごろ、この街には説明のつかない“非現実”が侵食し始めていた。
空に一瞬だけ現れる浮遊大陸。
夜ごと聞こえる、誰かの「封印を解け…」という囁き。
SNSでは“選ばれし者”を名乗る自称勇者がバズり、
謎の組織がビルの影から世界の命運を見守っていた。
人々は不安にざわつき、政府も水面下で動き出す。
世界が静かに変わり始めていた――そんな中。
「朝飯食いそびれた……学校、行く意味あるか?」
その日も遅刻ギリギリでパンをくわえながら角を曲がったのは、
高校生・真野カケル。
遅刻しても怒られず、喫茶店で異世界の魔導書を読んでいても誰もツッコまず、
使い魔を肩に乗せて歩いていても「また変なの飼ってるね」と言われる程度。
周囲の人々が魔法の存在に怯え、次々と事件に巻き込まれていく中、
彼だけは毎日フラペチーノ片手に「うーん、暑いね~」と呑気に歩いていた。
なぜかトラブルがカケルの周囲でだけギャグ方向に歪んでいき、
爆発すら背景演出のように流れていく。
魔王の幹部が現れても、いつの間にかカケルのバイト先で皿洗いをしていた。
「世界の運命とか、俺、バイトで忙しいから無理なんだよね」
――それでも、確実に世界は崩れていく。
そして、彼自身がその“鍵”であることに、誰よりも彼自身が気づいていない。
日常の皮をかぶったファンタジー。
そして、ファンタジーをギャグで受け流す少年。
これは、世界の温度が下がる中、ひとりだけ常に「ぬるま湯」で生きる少年の、
ズレた日常逆転劇である。
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