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浜焼き三太郎 2026/05/07 公開 2026/05/07 21:17 更新
ゴールデンウィークの短期バイトの帰り道。主人公の「僕」は、バイト先の先輩の車で寮まで送ってもらっていた。
車内には、楽しげに語らう男女の先輩たちと、横で眠りこける女子。一人手持ち無沙汰な「僕」は、かつて医学部を目指していた頃の名残である英単語アプリを、消せないまま眺めていた。今の自分には必要のないはずの、かつての夢の残骸。
ふいに運転席の先輩から「将来、何になりたいのか」と問いかけられ、「僕」は言葉に詰まる。「医者になりたい」——その一言が、今の自分にはあまりに遠く、不相応に思えて飲み込んでしまった。結局、本音を隠して「特にない」と、大学生らしい無難な答えでその場を凌ぐ。
しかし、その後の会話で、ハンドルを握る先輩が子供の頃からの夢を叶えた「獣医師」であることを知る。挫折を乗り越えて夢を掴み取った先輩の眩しすぎる姿に、「僕」の心はどす黒い嫉妬と同族嫌悪で満たされていく。
だが、先輩が漏らした一言が、「僕」の硬直した心を解きほぐしていく。夢を叶えた者もまた、迷いや葛藤のなかにいること。そして、空っぽであることは決して「情けないこと」ではなく、これから何にでもなれる自由の証明であること。
窓を叩く雨が上がり、寮へ続く道が開ける頃。「僕」は握りしめていた拳を解き、真っ白な未来へと一歩を踏み出す決意をする。
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