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さとう すみか 2026/05/24 公開 2026/05/25 18:00 更新
悪役令嬢エルゼ、九歳のある朝。目を覚ましてすぐに違和感を抱いた。
記憶はある。言葉も話せる。体も動く。
でも「自分がエルゼだ」という感覚が、どこにもない。
(わたしは、誰?)
どうやら別の魂がこの体に迷い込んだらしい——
ちょうどその日、この屋敷に義兄がやってきた。レナードという、荷物の少ない少年。
無口で、不思議なくらい物を知っていて、理由もなくお茶に誘ってくるようになった。
後妻候補の女たちに嫌がらせをされても、婚約者の王子に避けられても、父に言葉をかけてもらえなくても——なぜかこの義兄だけが、隣にいた。
しばらくすると、遠くの教会から、聖女を名乗る女の噂が流れてきた。
嫌な予感がした。
なぜかはわからない。
ただ、胸がざわついた。
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