異世界恋愛 完結・全31話

『お前の薬草遊びと茶飲み友達など無価値だ』と言われ離縁しました。翌月、全商会が夫との取引を止めました——私は今、隣国王宮の薬草茶室で働いています

花守かおるこ 2026/05/16 公開 2026/09/02 04:54 更新

あらすじ

冬の茶は、すぐに冷める。
けれど、冷えたのは茶ではなく、
あなたの言葉だった。

---

「薬草遊び」
「茶飲み友達」
「役に立たない女」

笑い声の混じる広間で、
私は静かに離縁状を受け取った。

湯気は細く揺れ、
やがて見えなくなる。

まるで、
あの日の私の居場所のように。

---

あなたは知らなかった。

眠れぬ商人に、
胃を痛めた老侯に、
長旅に疲れた使節に、

どの葉を、
どの温度で、
どの順番で淹れていたかを。

知らなかった。

香りひとつで、
人の怒りが和らぐことを。

一杯の茶で、
止まりかけた交渉が動き出すことを。

---

だからあなたは捨てた。

温室を。
薬草を。
積み重ねた季節を。

「雑草だ」と笑いながら。

乾いた土の匂いだけが、
冬空に残った。

---

翌月。
港から船が消えた。

商会は扉を閉ざし、
招待状は途絶え、
屋敷から人の気配が消えていく。

静かだった。

恐ろしいほどに。

崩壊とは、
雷のようには来ない。

誰も茶を飲みに来なくなる。
それだけで、世界は終わる。

---

今、私は隣国の王宮にいる。

朝露を含んだミント。
眠りを守るカモミール。
月明かりに香る銀月花。

私は今日も、
誰かのために茶を淹れる。

戦を避けるために。
涙をこぼさぬために。
人が、人でいられるように。

---

「本当の茶飲み友達ですね」

そう笑う声に、
私はようやく気づく。

大切なのは、
誰に価値を決められるかではない。

誰の心を、
温められたかだ。

---

春の庭園。
白い湯気が空へ昇る。

もう、
この茶が冷めることはない。

ポイント

総合ポイント 404
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 32279.7% ブクマ×2 8220.3%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
41
感想
1
レビュー
0
評価者数
39
平均評価
8.26
週間読者
0

ブクマと評価ポイントの推移

10/28〜11/03(7日間)
ブクマ 41+0(7日間)
42 41 40 10/28 10/31 11/03
評価ポイント 322+0(7日間)
323 322 321 10/28 10/31 11/03

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/03 41 ±0 322 ±0
11/02 41 ±0 322 ±0
11/01 41 ±0 322 ±0
10/31 41 ±0 322 ±0
10/30 41 ±0 322 ±0
10/29 41 ±0 322 ±0
10/28 41 ±0 322 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

順位を読み込んでいます…