ヒューマンドラマ 連載中・全7話

桑の花の咲く頃に

島田遼太 2019/11/30 公開 2019/11/30 20:41 更新

あらすじ

 目の先に映る世界は凄惨な光景で埋め尽くされている。
手からは生き物が動脈を小突く一定の鼓動が伝わり、そして目には、まだ手沢のついていない一抹のナイフを通して地面に流れていく体温が映る。出水した赤の液体は、絶えず流失し続け地に大きな水たまりを作っている。人間というのは、体内から半分以上の血液が出ると致死する可能性が極端に高くなると言われていることを思い出すに、目の前の血だまりがとうにその致死量と呼ばれるものを超えていることは火を見るより明らかだった。
 さっきまで雨を降らしていた霧がかっていた雲は一時顔をそらし、代わりに覗かせた月がより鮮明に景色をはっきりとさせていく。月明かりに照らされてらてらと輝く赤黒い水たまりは、かさを増しやがて足下にまで及ぶ位になった。この乱れた呼吸は誰のものだろうと口をつぐむとそれは紛れもなく自分から発せられたものだった。他人から発せられる腐った鉄のにおいに脳漿がくらくらと陶酔し一歩退く、するとどろどろでネチャネチャとした粘液が足に絡んで思うようには動けなくなる。手元に残ったままの確かな感触を引き抜けば、そこからは止めどなく血が流れていく。
鈍く光ったナイフを見る。半液体から、反射された己の顔は酷く歪んでいる。
そうしてその肖像画を眺めていると、ばたりと眼前の人間だったものが肉塊に変わって崩れ落ちていった。
今日僕(私)は、人を殺めた。
あらかじめ準備していた高尚な動機も今となればほんの一縷のあまりたいしたことではなかったように、僕は思う。
 あれだけ殺したくてたまらなかったはずなのに、殺したくはなくなってしまった私は、この事実を呪う。
神よ、願わくは変えられない物を受け入れる勇気を僕に。

願わくは、変えられない物を変える勇気を私に。

少年が、少女を殺してしまったことによって始まるピカレスク小説です。

ポイント

総合ポイント 7
日間ポイント 0
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最高順位 [未取得]
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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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ブクマと評価ポイントの推移

10/26〜11/01(7日間)
ブクマ 0+0(7日間)
1 0 10/26 10/29 11/01
評価ポイント 7+0(7日間)
8 7 6 10/26 10/29 11/01

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/01 0 ±0 7 ±0
10/31 0 ±0 7 ±0
10/30 0 ±0 7 ±0
10/29 0 ±0 7 ±0
10/28 0 ±0 7 ±0
10/27 0 ±0 7 ±0
10/26 0 ±0 7 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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