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九葉(くずは) 2026/06/21 公開 2026/06/21 09:32 更新
セレスティアは、ずっと影だった。
王太子クラウディオの婚約者でありながら、彼女の仕事は誰にも見えない場所にあった。
夜ごと王冠の腐敗を受け止め、笑われても、疑われても、ただ黙って支えてきた。
けれど彼女は、光の似合う聖女候補の前で婚約を破棄される。
影なら、黙ってそこにいろ。
そう告げられた夜、セレスティアは王宮に鍵を置いて去った。
すると、王冠から黒い蜜がにじみ始める。
祝福の鐘は沈黙し、白百合は黒く萎れ、王宮は少しずつ歪んでいく。
彼女が担っていたものは、本当にただの陰気な儀礼だったのか。
王冠が求めていた影とは、いったい誰のものだったのか。
捨てられた花嫁の影は、どこへ伸びていくのだろう。
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