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真部 朝樹 2026/10/07 公開 2026/10/30 18:15 更新
「私は七年前、王女を辞めた」
魔法王国マリアベルの第三王女、リカルティール・マリアベル。
類まれな魔法の才能を持ちながら、彼女が何より望んだのは、王族としての栄誉でも権力でもなかった。
自分の人生を、自分で決めること。
十五歳で王宮を脱走し、国境を越えた彼女は、名前も身分も捨てて、ただの「リカ」として生きる道を選んだ。
それから七年。
二十二歳になったリカは、辺境の街でA級冒険者となり、森の奥の小さな家で気ままな暮らしを送っていた。
好きな仕事を選び、好きな魔法を研究し、誰にも命令されずに生きていく。
そんな彼女の前に、ある日、一人の男が現れる。
森の中で魔物に追われていたその男は、タクマ・イザワ。
「ニホン」という、聞いたこともない国から来たという。
魔法を知らず、魔物も知らず、剣の扱いすら分からない。
けれど、彼が語る故郷の世界には、魔法を使わずに空を飛ぶ乗り物があり、遠く離れた人々が瞬時に言葉を交わし、誰もが膨大な知識に触れられるという。
魔法が当たり前の世界で育ったリカにとって、彼の話は驚きの連続だった。
一方のタクマもまた、魔法という未知の技術と、リカの豊富な知識に魅了されていく。
二人は互いの世界を語り合い、ともに冒険し、時には失敗しながら、少しずつ新しい日常を築いていく。
やがて二人の小さな暮らしは、冒険者たちの営み、魔法の可能性、そして大陸を揺るがす戦乱へとつながっていく。
しかし、どれほど遠くへ旅をしても、リカが捨てたはずの「リカルティール」という名前は、彼女を追い続ける。
王女として生まれた少女は、王女であることを捨てて自由を手に入れた。
そして今度は、誰かと生きること、誰かのために力を使うことを、自分の意思で選び始める。
これは、王女が王宮へ帰る物語ではない。
自由を求めて逃げ出した少女と、異世界から迷い込んだ青年が、互いの世界を知り、愛する人と生きる未来を選んでいく物語。
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