宇宙 完結・全8話

『神罰の要塞(ディエス・イレ)――戦乙女は銀河の焦土に咆哮するか――』

新里泰久 2026/05/16 公開 2026/06/17 05:00 更新

あらすじ

宇宙暦七〇二年。数百の星系を版図に収める銀河連邦は、極限まで腐敗していた。官僚機構は汚職に塗れ、特権階級は民衆から吸い上げた血税で夜会を催す。これに対抗するレジスタンス『自由銀河戦線』もまた、正義という名の麻薬に酔い、無差別テロを繰り返す過激な独裁予備軍に過ぎなかった。

この救いようのない泥仕合の最前線に、一人の天才が君臨する。
最高名門貴族の血を引き、いかなる熱情も宿さぬ青い瞳を持つ男、マクシミリアン・オーギュスト・クリストフ・フォン・プフェッフェル・ウード・メッテルニヒ。戦場においてデータ上の効率のみで敵を解体するその冷酷さから、人々は畏怖を込めて彼を『戦乙女《ヴァルキリー》』と呼んだ。

人間という不確定要素を極限まで嫌悪するマクシミリアンは、連邦政府の莫大な予算と汚職高官たちの隠し裏金を貪り、辺境の未開セクターで巨大な国家プロジェクトを秘密裏に始動させる。
それこそが、空間そのものを位相崩壊させるという、広域惑星破壊要塞――**【神罰の要塞《ディエス・イレ》】**。

超高出力プラズマを制御するための異常なまでに精密な多段式コンプレッサー、万が一の空間歪曲にもビクともしない超重装甲の気密隔壁群。歴史家たちが「銀河で最も贅沢な、そして最も冷酷な破壊へのカウントダウン」と評したその悪魔の兵器は、着実にその建造度を上げていく。

恐怖に駆られたレジスタンスは、要塞完成前に中枢を屠るべく、総旗艦『解放号』を先頭に全軍特攻を敢行。利権と権力を死守したい連邦軍もまた、絶対防衛回廊へと主力艦隊を集結させる。

星々が血に染まる、『世界終末の日《ラグナロク》』の舞台は整った。
双方の正義と強欲が激突し、銀河全土が未曾有の最終審判に震えるその瞬間、マクシミリアンの美しく整った指先が、静かに起動キーへと滑り出す。

冷徹なる戦闘女神が、虚空に向けて放つ「真の弾頭」とは――。
正義を叫ぶ道化師たちの熱狂を、完璧な絶望と虚無でフリーズさせる、史上最大の知略ドラマが今、幕を開ける。

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