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伊藤暗号 2024/03/01 公開 2024/09/29 06:00 更新
プロローグ
「ポーション類の在庫、大丈夫ですか?」
棚の、ずいぶんと隙間のあるガラス瓶の並びのバランスを、神経質に整えて「そろそろ作りはじめないと足りないのでは?」と、リュコスは素材採取を促す。
切羽詰まってから出かけるとなると、また店をに任せっきりにすることになるかもしれない。
「あぁ〜麻痺解除薬〜どうしても行かなきゃダメ〜?」
店頭のカウンターにダラリと腕を投げだし突っ伏していた目の前に、カラのガラス瓶が並ぶ木箱を ガチャリ と置いて現実を突きつけると、リュコスは作業場に戻って行った。
状態異常の麻痺解除薬の調剤には、どうしても同じダンジョンの麻痺蛭の体液が必要で、どうしても沼地フィールドに行かなければならない。
どうやら、どうしても行かなきゃダメらしい。
誰もがイメージする通り、蛭はかわいくないし臭いし、沼地はジメジメして臭いし、ブーツは汚れるし臭いし、とにかく行きたくない。
ついでに、ソレが経口接種薬って現実からも目を逸らしたい。
「やっぱり素材持ってきてくれた冒険者にだけ売る事にしよっか?」
「俺は最初からそう言ってました」
返ってきた軽口に、むう と口をとがらせる。
「・・・お互いだいぶ人間らしくなってきましたなぁ」
ダンジョンのセーフルームの壁をくりぬいて造った「雑貨屋ぼったくり」のカウンターで、リコは、この世界に拉致られた時のことを思い出していた。
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