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鍼野ひびき 2026/04/29 公開 2026/05/07 18:00 更新
【夜の屋根裏に、子どもの笑い声が響く。】
【それは幽霊か、記憶か、それとも――誰かの願いか。】
高校入学直後、佐伯美咲は気づけばオカルト新聞部に入部していた。先輩たちに勝手に囲まれ、お菓子を押しつけられ、そして初仕事まで押しつけられた。行き先は町外れの一軒家・松原邸。夜になると屋根裏から「誰かの足音」が聞こえるという。
怖い話は大好きだ。でも布団を頭まで被って震えながら読むタイプだ。実際に夜の一軒家へ取材に行くとなれば、話は別――それでも美咲はポテトチップスを握りしめ、現場へ向かった。
松原邸に住む老婦人・澄子は七十代。戦後、子どもたちが行方不明になったという過去を持つ彼女は、「足音は怖くない。まるで誰かが帰ってきたみたい」と静かに語る。その言葉に美咲の胸は締め付けられた。怪談の裏には、いつも人の悲しみと願いがある。
そして深夜、屋根裏に踏み込んだ三人が見つけたのは、最近誰かが触れた形跡のある古い木箱と、子どもの筆跡で書かれた一言――「おかえり」。録音機には足音と共に、楽しげな子どもの笑い声、そして囁くような声が刻まれていた。
これは幽霊の仕業なのか。誰かの演出なのか。それとも、長い年月をかけて積み重ねた人の記憶が、形を持ちはじめたのか。
口だけ達者な黒川先輩、冷静沈着な藤堂先輩、そして怖がりで笑い上戸の新入部員・美咲。三人の取材は、怪異の真相へと――そして誰かの深い痛みへと、静かに近づいていく。
笑えて、怖くて、どこか泣ける。青春オカルト取材、開幕。
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