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雉白書屋 2026/10/30 公開 2026/10/30 11:00 更新
夜、とあるアパートの一室。廊下を抜けてリビングに入った男は思わずびくりと立ち止まった。
冷蔵庫のドア――。
部屋の中は明かりが点いておらず、レースのカーテンの向こうから差し込む月明かりが室内の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。その薄暗がりの中で、大きく開け放たれた冷蔵庫のドアから、庫内灯の白い光が床に滲み出ていたのだ。
いったいなぜ――と考える間もなかった。
次の瞬間、冷蔵庫のドアがバタンと勢いよく閉まった。
「こいつっ……!」
男は反射的に床を蹴り、冷蔵庫の前に飛びかかった。すると胸に何かがぶつかった感触があり、同時に「きゃっ」という甲高い悲鳴が耳を打った。
男は勢いのまま、相手ともつれ合うように床に倒れ込んだ。相手の姿は暗さのせいで見えないものの、確かに捕まえた。男は逃すまいと手に力を込め、相手を押さえつけて馬乗りになった。
「この泥棒野郎が……! うちに金なんざないっちゅうに、盗みに入るんなら、もっと金持ちの家を狙えや! ほんで、あれか? 金がないんやったら食いもんでも食うたろか、なんて思うたんか! 食いもんの恨みが一番怖いっちゅうこと、きっちり教えたろかい! ……ん?」
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