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伏見トキナ 2026/10/07 公開 2026/10/20 21:18 更新
自分の身体が会社の資産になった男の話。
夢の医療技術でチート能力を手に入れた中年男が、身体所有権とドリルに人生を狂わされる、逆なろう系SFブラックコメディ。
「返却してください」
「身体に付いてるんですけど」
事故で陰茎を失った四十四歳の設備管理会社員・黒川慎吾は、治験によって人工ペニス《PGS-01》を装着し、ようやく普通の生活を取り戻した。
ところが半年後、彼の前に現れた銀色のケースには、ドリル、高圧射出、ワイヤーアンカー、照明、消火、マニピュレーター、電磁パルスなど、どう考えても人工ペニスに必要とは思えない十種類のアタッチメントが収められていた。
しかも開発会社は、計画の中止を理由にPGS-01の返却を要求してくる。
身体に装着された人工ペニスは、あくまで会社の資産だというのだ。
逃げれば追われ、使えば壊れ、使わなければもっと困る。
普通なら人生を好転させるはずのチート能力が、慎吾の平穏な日常を徹底的に破壊していく。
そんな理不尽な騒動に巻き込まれるうち、慎吾は自分の人工ペニスが単なる義肢ではなく、次世代の身体拡張技術を左右する《共通接続規格》の原型であることを知る。
企業はそれを資産として見て、技術ブローカーは一億円の値段を付け、研究者は人類の未来を夢見る。
しかし慎吾にとっては、会社の資産でも、未来の規格でも、一億円の商品でもない。
ただの自分の身体だった。
これは、世界を救いたいわけでも、ヒーローになりたいわけでもない四十四歳の設備屋が、機械のチンコを巡る企業の規格戦争に巻き込まれながら、自分の身体を取り戻すまでの物語。
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