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たんぽぽ 2026/09/13 公開 2026/10/02 18:10 更新
子供は、希望に満ちたその瞳でお日様の下を元気に駆け回るもの。決して、絶望を通り越した感情の無い瞳で、虚ろに虚空を見つめる存在では無い。
***
私の名前はファイ。早くに両親が亡くなって、今は暗殺者訓練施設の毒殺科に所属する、8歳女子だ。
私には前世日本の記憶があるが、ぼんやりと覚えている事は、日本の文化と生活、小さい子供を育児していた記憶くらいだ。前世の記憶、使えないものである。
いつも通りに毒殺科の訓練を終えて廊下を歩いていると、窓と反対側の扉から灯りが漏れているのに気がついた。
何となく気になってそっと中を覗いてみると、5歳くらいの男の子達が、ぼんやりと焦点の合わないまま、虚空を見つめている。
ボサボサの髪に、包帯を巻かれた細い手足。顔色は良いとは言えず、ボンヤリと虚空を見つめるその目に、光は無い。
この子達は、恐らくこの暗殺者訓練施設の総合エリート科、シグマ先輩が教えている子供達だ。
この子達を構い出したら、そのうちにシグマ先輩に目をつけられて、始末されるだろう。
でも、命を大事にする前世日本の思想を持っている私は、多分暗殺者には向いていない。
早々に暗殺に失敗して殺されたり、自決する事になるだろうから、少し早まっただけだ。
それなら。短くとも、人を殺すより、彼らを生かす人生にしたい。
今世の生き方と覚悟を決めた私は、この子達に、少しでも心を。人間らしさを。取り戻した上で、自分の手で未来を選び取ってもらえるように。子供達の世話をし始めた。
※カクヨムにも掲載しています
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