推理 連載中・全1話

洋上の滴 その2

野馬知明 2021/10/24 公開 2021/10/24 00:00 更新

あらすじ

南アジアの小国の国際空港で現地世話役の丸山が土岐を出迎えた。丸山はエイジアン・コンサルタンツ・インターナショナルの正規社員で土木エンジニアリングが担当だ。フィージビリティスタディに参加しているのは、土岐をのぞくと十人だ。プロジェクトマネージャーが王谷、副プロジェクトマネージャーが吉川、電化エンジニア主任が松山、電化エンジニアが川野、運行エンジニアが山田、軌道エンジニアが高橋、電信エンジニアが浜田、信号エンジニアが畠山、輸送エコノミストが中井、そして土木エンジニアが丸山という布陣だ。
現地国鉄の作業所で、土岐は中井から乗客予想のレポートを受け取った。中井はかつてEUの調査会社が書いた乗客予想のレポートを下敷きに、適当に数字を加工して作業を終わらせようとしていた。プロジェクトマネージャーの王谷は定年間際で、今プロジェクトを成功させて、エイジアン・コンサルタンツ・インターナショナルの取締役就任を企てている。王谷は外務省ノンキャリアからの天下りで、権謀術数をめぐらせる極めて腹黒い男で、どこでなにをされるかわからないという。王谷には、プロジェクトを成功させたいという強い動機がある。その夜、土岐と丸山は現地国鉄の財務副部長のシュトゥーバに夕食の招待を受けた。シュトゥーバの自宅を見て貧しい生活であることがよくわかった。土岐はシュトゥーバから、公明正大な財務分析を要望された。
交通エコノミスト中井は次の仕事で東欧に去った。その作業事務所に南国バケーションスタイルの商社マン南田がやってきた。作業に必要な部品や機材は南田が勤務する巨大商社が一手に引き受けることになっている。プロジェクトが実行に移されれば、巨額の口銭が南田を経由して日本の本社に流れ込む。南田にとってこの国の駐在員であることは不本意であるが、プロジェクトにかかわる売り上げを手土産に出世することを期待している。そういう意味でプロジェクトを成功させることに強い動機が南田にはある。実際、軌道の仕様がエンジニア高橋の推す安価なバラストから南田が推奨する高価なスラブに決定された。王谷の鶴の一声だった。

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11/03 0 ±0 10 ±0
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