ホラー 完結・全4話

黒い八月 —封印予言の夏—

東雲 比呂志 2025/07/16 公開 2025/07/19 21:00 更新

あらすじ

2025年の夏。沿岸南西域と呼ばれる街に、一つの不穏な予兆が忍び寄っていた。
それは「新型出血熱の疑い」とされる、ごく短い行政放送から始まった。
報道は沈黙し、専門家は口をつぐみ、街にはいつの間にか赤い標識と封鎖線が並び始めた。
人々は最初、これを単なる風評や予防措置だと信じようとした。
しかし、やがて訪れる「十三日目」を迎える頃、街は確かに何かを失いはじめていた。

この封鎖の背後には、五年前に忽然と姿を消した一人の男、疫学研究員・凍鷺夢生(いてさぎ・むう)が残した映像記録があった。
彼は2020年の秋、まだ誰も黒血熱の名を知らない時代に、次の言葉を残していた。
――「黒い八月が来る。
 十三日目に兆しが現れる。
 この街は数字の中で終わる。」

当初は荒唐無稽な陰謀論として一笑に付されたこの予言は、やがて現実に重なってゆく。
感染は数字に置き換えられ、記録は管理され、公式発表は次々と修正されていく。
「収束」という言葉が繰り返される一方、街には防護服を着た監視員が増え、隔離区域が膨らみ続ける。
そのどこにも、終わりは見えなかった。

記録を追うのは、一人の記者、夜澄エレナ。
行政放送と統計の背後に潜む「計画の設計図」を暴くため、彼女は失踪した凍鷺夢生の足跡を追い始める。
次第に明らかになるのは、この感染が単なる疫病ではなく、支配のために仕組まれた「予定された流行」である可能性。
そして、その全貌を「記録者」と名乗る匿名の存在が監視しているという恐るべき事実だった。

この物語は、感染が拡大するパニック小説ではない。
「封鎖される街で、記憶と記録がどう塗り替えられていくか」を見つめる、ひとつの終末の記録である。
黒血熱の感染経路を、誰が、何のために計画したのか。
行政と報道の沈黙はどこから始まったのか。
そして、予言とも呪いともつかない「黒い八月」の正体は何なのか。

疫病の恐怖だけでなく、情報が封じられ、人間が数字に還されていく過程が描かれる。
終息を告げる放送が流れても、そこにあるのは安堵ではなく、ひとつの問いかけだ。
「あなたがこの先、新しい封鎖の街に出会ったとき、その沈黙に耳を塞ぐのか。それとも声を探すのか。」

記録は未完のまま残されている。
それをどう読むかは、読み手に託されている。

ポイント

総合ポイント 20
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 1680% ブクマ×2 420%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
2
感想
0
レビュー
0
評価者数
2
平均評価
8.00
週間読者
0

ブクマと評価ポイントの推移

10/27〜11/02(7日間)
ブクマ 2+0(7日間)
3 2 1 10/27 10/30 11/02
評価ポイント 16+0(7日間)
17 16 15 10/27 10/30 11/02

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/02 2 ±0 16 ±0
11/01 2 ±0 16 ±0
10/31 2 ±0 16 ±0
10/30 2 ±0 16 ±0
10/29 2 ±0 16 ±0
10/28 2 ±0 16 ±0
10/27 2 ±0 16 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

順位を読み込んでいます…