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Chiyo 2026/09/12 公開 2026/10/30 16:44 更新
エステリア王国の第一王女アヤ・ソヴェールは、聡明で、誰よりも周囲をよく見ている。
けれど、ふくよかな容姿ゆえに社交界では「醜いあひるのお姫様」と嘲られ、男性から女性として見られることにも、とうに期待しなくなっていた。
誰かに選ばれることを望むより、自分にできることをする。
傷ついた者がいれば手を差し伸べ、争いがあれば間に立ち、妹たちや国のために、自分の役目を果たす。
そんなアヤを、ある夜、一人の騎士が見つける。
北の国サルヴィアから来た黒騎士隊長、ジェフリー・ハルセリン。
冷静で近寄りがたい「氷の騎士」と呼ばれる彼は、華やかな王女たちではなく、人の輪の外から誰かを見守り続けるアヤに、なぜか目を留めた。
やがて、二人を取り巻く世界は王宮の中だけでは収まらなくなっていく。
古い記録。
各地に残された伝承。
食い違う物語。
隠された過去。
その断片を読み解いていく中で、アヤの知識と観察力は、少しずつ必要とされていく。
そしてアヤは王宮を離れ、これまで知らなかった世界へ足を踏み出すことになる。
そこで出会うのは、美しいものばかりではない。
国も、身分も、生まれ育った場所も違う人々。
それぞれが抱えている事情と、譲れないもの。
その旅の中で、アヤとジェフリーもまた、少しずつ互いを知っていく。
誰かに選ばれることなど、とうに諦めていたアヤ。
感情を胸の奥へしまい込んできたジェフリー。
同じ景色を見て、同じ道を歩き、幾つもの出来事を重ねるうちに、互いは少しずつ、ほかの誰とも違う存在になっていく。
そしていつかアヤは、誰かに選ばれるだけではなく、自分もまた、一人の人を選ぶことを知る。
ジェフリーもまた、ただ彼女を見守るだけではいられなくなる。
気づいたときにはもう、その人を失いたくないと思うほど、大切になっている。
――これは、誰にも選ばれないと思っていた王女と、感情を閉ざしてきた騎士が、旅と謎の中で互いを見つけ、ゆっくりと恋に落ちていく物語。
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