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伊集院アケミ 2020/08/30 公開 2020/08/30 23:53 更新
この小説の筆者も、この小説そのものも、むろん架空のものである。にもかかわらず、昨今の創作界隈を見てみると、このような人物は、今の社会に存在しうるのみならず、むしろ存在するのが当然なようにも思える。私は、いわゆる中2病と呼ばれる人間の持つ性格の一つを、皆さんの面前へ引きだしてみようと思った。それは今だに、創作界隈の人間によくみられる、典型的な人物像であるとすら言えると思うからだ。
『タペストリーのプリンツ・オイゲン』と題する最初の断章において、彼は猫とシド・ヴィシャスに対する愛着について語り、自分のような人物が現われた理由、否、現れなければならなかった理由について、説明しようと欲している。以後に続く、『時空管理局の女』『黒衣の少女』『古書店の尼僧』の各断章において、並行世界における彼の別の可能性が語られるが、その全ての断章において、ヒロインたちは、実体を持たない。にもかかわらず、圧倒的な存在感を持って、それぞれの物語における彼に語り掛けてくるのである。
なお、『古書店の尼僧』におけるヴァルダさんは、私には『黒衣の少女』に登場する幻影と同じ存在のように思えるのだが、断言はしないでおく。私はただ、別に世界線に存在するアケミから送られたビジョンを、忠実に引き写すだけである。
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