空想科学 完結・全61話

箱の外側で、君は死んでいる

みぎみみ 2026/11/03 公開 2026/11/03 13:26 更新

あらすじ

「わたし、たぶん死んでるよ。あなたの中でだけ生きてる、って意味じゃなくて。物理的に、まだ決まってないの」

三年前の事故で死んだはずの恋人が、いまも僕の部屋で鍋を作っている。
触れられる。体温がある。脈も数えられる。七十二だ。

幽霊ではない。

ただ、彼女が畳んだ洗濯物は、他人が見た瞬間に畳まれていなかったことになる。
財布のレシートは三十七枚すべてが二人分で、店員は誰ひとり、二人目を覚えていない。

やがて僕は知る。
三年前のあの実験は、「箱の中の観測者と、外の観測者が、両立しない事実を持つ」ことを実証するものだったと。
そして、その箱の壁を計算したのは、僕自身だったと。

事実は、複製の多いほうが勝つ。
彼女が生きていると証明しようとするたび、相手はまず「死んだ」という記録に触れる。
助けようとするほど、彼女は薄くなっていく。

国家の「事象整合室」は、少数派の証言を否定しない。
一字も曲げずに記録する。
ただ、その紙の前段には必ずこう書かれている——望月榛名、当時二十四歳、三年前の事故により死亡。

多数決に負けつづけた男が、最後にたどり着いた方法は、観測しないことだった。

量子力学の「ウィグナーの友人」を軸に据えた、現代SF。
全六十話・完結済み。物理の知識は一切要りません。

ポイント

総合ポイント 0
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 00% ブクマ×2 0100%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
0
感想
0
レビュー
0
評価者数
0
平均評価
[未取得]
週間読者
[未取得]

ブクマと評価ポイントの推移

この作品はまだなろうファンDBに記録がありません。掲載から2日たつと、毎日0時ごろに記録を始めます。

総合ランキングの推移

順位を読み込んでいます…