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一の瀬光 2019/08/17 公開 2019/08/17 21:35 更新
城島淳一はヒマをもてあましていた。もとは高速鉄道のエリート車掌だった彼も今では失業中の身、おまけに女房には逃げられたときては都心の大きな公園でぶらぶら時間をつぶすほかに何もやりたいことが思いつかなかった。
そんなところへとびきりの美女が現れて「あなたをさがしていましたの」と言われたら舞い上がるのも無理はないだろう。どういうわけかこの女は車掌を探していると言うのだし。
しかし甘い話に気楽なオチはない。いつしか眠気におそわれて、きづけば北海道。知らぬ間に時代がかった車掌服を着せられてSL試乗会を任されているという混沌状態。
でもどこまでもキレイな女の子に弱いこの男、疑いながらも情に流されて女の言うままに車掌の役を演じて大勢の客を仕切ってSLに乗り込ませ、やっと出発したと思ったのもつかの間、勝手に女が客車を切り離したのも大目に見て、女に言われるままに運転台の機関手までも外に放り出し、謎の力で機関車を操るこの女と破滅めざして爆走まっしぐら。
聞けばこの女、この汽車をとある山頂まで走らせたその後に崖から落下させ、その下にある深い湖に沈める気らしい。そこに女の国があり、女はどうしてもそこへ帰りたいからだと言う。すでに幾度も不可思議な現象を見せつけられた城島はその話を信じる気になっていた。いや、それどころか、この女とどこまでも一緒についていきたいと願うようになっていた。それは女も同じ気持ちだった。
だが残酷な現実と異界の掟がそれを許そうとはしなかった・・・訪れる別離、そしてその後でも男が抱く希望とは・・・
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