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ろいぷぅ 2026/09/01 公開 2026/10/30 06:10 更新
駅前のロータリーで信号待ちをしていただけの俺は、気づけば見知らぬ大聖堂にいた。
「勇者召喚」――大仰な言葉とともに、居合わせた見ず知らずの他人たちが次々に規格外のステータスを叩き出していく中、俺に下された鑑定結果は「オールステータス10、適性なし、固有スキルなし」。
聖女アナスタシアは、慈愛の仮面を一瞬で脱ぎ捨て、俺を「バグ」と切り捨てた。送られた先は、生きて帰った者がいないという最果て――無帰の奈落。
だが、俺には一つだけ、誰にも気づかれなかった力があった。ステータスの「値」は書き換えられない。けれど、この世界を動かしている見えない「フラグ」――ON/OFFのスイッチなら、覗いて、弾ける。
石ころ一つでスタンを誘発し、地形の当たり判定を消して格上の魔物を叩き落とす。正攻法の強さなんて、最初から持っていない。あるのは、この世界のルールの穴を突く、デバッガーとしての知恵だけだ。
奈落で出会った元鑑定士の老人・ライラスとともに、俺はこの世界の底で、少しずつ牙を研いでいく。
聖女が縋る「鑑定の儀」は、本当に公正なものなのか。この世界を統べる教典の裏に、何が隠されているのか。
――バグと呼ばれた俺が、この世界のルールを、片っ端から書き換えてやる。
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