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OxalicAcid 2025/12/16 公開 2026/08/20 20:00 更新
人間と魔族が殺し合う世界。
力では常に魔族が上であり、人間は知恵と組織でそれに抗ってきた。
その均衡を、たった四人の人間が終わらせた。
彼らは勝ち続け、迷いなく、感情なく、魔族を「処理」していく。
人はそれを ARK と呼んだ。
敗走の中で生き延びた、名を持たぬ魔族の少年がいる。
迫害され、逃げ、何も持たず、ただ一冊の人間の本だけを懐に抱えて。
その本は、
「力を持たない者が、協力と知恵で強者を打ち倒す」
過去の英雄譚だった。
少年は戦えない。
だが文字を読み、図を理解し、
戦術・生活・修復・出産・保存——
あらゆる知識を“引き出す”ことで、
魔族たちを静かに支えていく。
勝つためではない。
生き延びるためでもない。
ただ、次へつなぐために。
やがて少年は知る。
自分が救った場所の外では、
生まれる前に消えた命が、無数にあることを。
世界はすでに静かになっていた。
それは平和ではなく、選別の結果だった。
風を運ぶ者と共に、
少年は空へ向かう。
剣を持たず、
号令も上げず、
ただ“繋ぐ者”として。
これは、
英雄の物語ではない。
勝者の物語でもない。
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