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たむ 2026/03/25 公開 2026/07/15 15:00 更新
ブラック企業で心をすり減らしながら働いていた真柴遼は、ある夜突然、灰色の天井と骨の魚が空を泳ぐ異世界へ迷い込む。そこは、王が即位した日に「半分死ぬ」ことで国を治めるという、奇妙で残酷な制度に支配された王国だった。
遼は墓の文字を読める稀有な異邦人として、名を持たぬ少女埋葬官見習いエナに導かれ、王都へ向かう。だが王国では、生きているはずの第十三の王に墓が用意され、さらに存在するはずのない第十四の王の死が記録されるという異常事態が起きていた。
遼は持ち前の現実感覚と事務処理能力を武器に、宮廷、埋葬官組織、王弟派、辺境諸侯、民衆暴動のあいだで翻弄されながら、この国の根幹にある秘密へ近づいていく。
やがて明らかになるのは、王とは民を守る存在ではなく、建国以来の罪と犠牲を引き受けるための装置であり、王墓こそが国家そのものを支える中枢だったという事実だった。
王位継承をめぐる内戦、亡命、王都陥落、奪還、空位政権の混乱を経て、遼とエナは「王が必要な国」そのものを終わらせる決断へと追い込まれていく。
これは、異世界に召喚された男が英雄になる物語ではない。
制度に埋め込まれた死を読み、王と国家と歴史の嘘を暴き、誰も王にならなくていい世界を作ろうとする物語である。
遼とエナは、愛と赦し、支配と記録、共同体と個人のあいだで傷つきながら、最後には「墓に支えられた王国」を終わらせ、墓のない新しい国の朝へ歩き出す。
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