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はまちゃん 2026/08/09 公開 2026/08/09 02:39 更新
俺は春を愛している。
数学の二大巨頭の一人、カール・フリードリヒ・ガウスが、俺と同じ四月三十日に生まれたからだ。
悪石平、高校二年生。
数学をこよなく愛する俺は、ある「新しい数」を発見し、その研究論文が数学界で話題となったことで、海外の大学から推薦の話まで届いていた。
周囲からは天才と呼ばれる。
けれど俺自身は、数学さえあればそれでいいと思っていた。
そんな春の日。
新入生として体育館に入ってきた、一人の少女に目を奪われる。
彼女は白杖を持っていた。
――諏訪之瀬宝。
生まれつき目が見えない少女だった。
ある日の放課後、図書館へ向かっていた俺は、白杖を落として困っている宝と出会う。
いつもの俺なら、きっと見て見ぬふりをしていた。
けれど、その日はなぜか彼女に声をかけた。
「図書館ってどこですか」
「俺も行くところだから、案内するよ」
それが、俺と宝の始まりだった。
宝は目で世界を見ることができない。
けれど、音を聞き、風を感じ、匂いを嗅ぎ、白杖から伝わる感触を頼りに、俺たちとは違う世界を生きている。
数学なら、どんな問題でも数式にしてしまえば答えを導ける。
けれど――恋だけは、そうはいかなかった。
天才数学少年・悪石平と、盲目の少女・諏訪之瀬宝。
二人が出会った春。
数学では解けない、たった一つの問題が始まる。
それは――
「恋とは、いったい何なのか。」
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