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ふたーなる 2026/11/03 公開 2026/11/03 01:00 更新
王都の葬儀院で、死者の名前を記録する仕事をしていた書記官、エルネスタ・ヴァルケン。
彼女の仕事は、亡くなった者の名前と生涯を記録し、王国の歴史に残すこと。ただそれだけだった。
戦場で名を馳せた英雄も、路地裏でひっそり息を引き取った老人も、記録の上では等しく一人の人間である。
しかし、王国はその仕事を軽んじていた。
「死人の名前を書くだけの女に、何ができる?」
ある日、王太子は戦争で命を落とした兵士たちの記録を改竄するよう命じる。戦死者を減らし、王国の勝利をより輝かしいものにするためだった。
エルネスタは拒絶し、職を失う。
だが、彼女が葬儀院を去った翌日から、王国では奇妙なことが起こり始めた。
戦死者の遺族に届くはずの弔慰金が届かない。
墓地に埋葬されたはずの兵士の名前が、記念碑から消えている。
そして、王国が誇る英雄たちの功績を証明する記録が、次々と失われていく。
王太子は知らなかった。
死者の名前を記録することが、王国の歴史を支える重要な儀式だったことを。
これは、死人の名前を書くことしかできないと蔑まれた書記官が、死者の尊厳を取り戻し、王国に自らの過ちを認めさせる物語。
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