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ramune 2026/07/22 公開 2026/07/26 00:47 更新
「入れても、出せないんです」――なら、出せる道を敷く。
戦えないポーター×十二時間だけの移動補給路。無双なし、配信なし。あるのは段取りと、白い道と、「間に合った」だけ。
#紹介文
「水がもうありません! 尽きました!」
深度七十階からの遭難信号。救助隊の突入は、早くて明朝。
水を届けるだけなら、命知らずが一人いれば済む。だが崩落帯の奥から、負傷者ごと十二人を連れて帰る手立てが、誰にもない。
――入れても、出せないのだ。
ダンジョン荷揚げ屋・岩永朔のスキル【経路固定】は、荷を背負って歩いた道筋を、十二時間だけ「安全な道」に変える。
魔物は道に乗れない。路面は崩れない。効き目は、道の上を歩く全員に及ぶ。
ただし条件は三つ。朔自身が道の上に居続けること。立ち止まれるのは一度に二百数える間まで。そして、背負い紐に掛かる荷を、十キロから切らさないこと。
剣も魔法も使えず、大手クランに「ポーター未満」と切られた男は、今日も崩落と群れの間に一本の白い道を敷き、水を、灯りを、血液を、撤退用の靴を届ける。
一箱届くたび、死を待っていた探索者が立ち上がる。帰りは、往路に敷いたその道が命綱だ。
やがて彼のもとへ、十五年前に父を呑んだ最深層から、遭難信号が届く。
救助対象の名簿には――死んだはずの、父の名前があった。
戦わないポーターの救難兵站もの。無双もざまぁもありません。あるのは、段取りと、白い道と、「間に合った」だけ。
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