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秋澄しえる 2026/01/03 公開 2026/10/28 12:00 更新
神託で授かったスキルは「粉砕」と「圧縮」。
神官さえ使い道を知らなかった二つの稀少な力。だが、落ちぶれた商家の四男ルカには、その可能性が見えていた。
前世で材料工学を学んでいた彼にとって、それは物質を砕き、固め直し、新たな素材を生み出す力だったのだ。
舞台は、十二世紀のヴェネツィアを思わせる海洋都市国家セレニア。かつて名を馳せたマルチェッロ家は莫大な借金を抱え、屋敷さえ失いかけていた。
十二歳の春、ルカは港で囚われていた海の民の少女アドリアーナ(アディ)を救う。それをきっかけに海の民との交易が始まり、思いがけず彼女と婚約することに。
家と商会を救うため、ルカは海底から運ばれる珊瑚や鉱物を素材へ変えていく。
珊瑚の宝飾品、色褪せない顔料、金属、ガラス、ゴム、コンクリート。だが、前世知識だけで何でも作れるわけではない。
材料を調べ、職人と相談し、この時代に実現できる形へ落とし込む。ルカが考え、職人が形にし、兄ロレンツォが商品と商売へ変える。
やがて技術は商会再建を越え、船乗りの靴、港を守る建材、夜の海を照らす光、より速い帆船、遠くの船と港を結ぶ通信へ広がっていく。
一つの発明が職人を動かし、商会を育て、港を変え、国家の価値を押し上げる。
錬金術? いいえ、材料工学です。
これは、誰も使い道を知らなかった力で、人と技術と海をつなぎ、海洋国家の未来を築いていく少年の物語。
※世界観の目安
本作は、十二世紀の地中海世界を下敷きにしたフィクションです。
・セレニア共和国:ヴェネツィア共和国に相当
・ジェンティーレ共和国:ジェノヴァ共和国に相当
・フィオラーレ共和国:フィレンツェ共和国に相当
・ミラノーヴァ公国:ミラノ公国
・ナポリタニア王国:ナポリ王国
・バイザンツ帝国:ビザンツ帝国に相当
・ファティーマ王国:ファーティマ朝に相当
・イルマーレ:地中海に相当
古代の著者・文献・神話などには実在の名称も使用していますが、国家名、都市名、人物、歴史上の出来事、技術発展には本作独自の改変を加えています。
また、海岸線、島々、山脈などの地理も現実の地中海世界とは異なります。各国・都市の対応は、文化的・歴史的な位置づけを理解するための目安です。
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