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雨後ノ晴男 2020/04/30 公開 2020/07/27 18:55 更新
「ふん、行くに決まってるだろ? 向かい風へ進むってのが私たちオークなのさ」
奴隷とされ、蛮族とも呼ばれた者たちは、全てを懸けてそのどちらでもない存在であり続けようとした。
ノルス共和国は国土の大半が高い山々に覆われていた。一年の半分は雪に包まれ、畑になり得る耕地など限られていた。そのため、狩猟や牧畜や、僅かな鉱山から産出される鉱石の加工が産業の中核となる貧しい国であった。しかしそれ故に、近年もう一つの産業が発達していった。
「人」の輸出、傭兵業である。
かつて十年戦争と呼ばれた戦乱の中で、故郷を追われたヒュームとエルフは先住民であったオークとドワーフに出会い、ノルスの地でともに国を興した。そして生存のため、国を挙げて傭兵業を営むこととなった。
建国から二十回目の冬を迎えるころには「ナーマッド」「血に飢えた餓狼ども」「神々への反逆者ども」「ブロッデーショナリー」など、他にも数え切れないほどの蔑称がノルス傭兵団に付けられていた。そして、いつしか人々は畏怖を込めて、オークやドワーフやエルフたちが住むノルスを、彼の傭兵たちが住まう国を、こう呼ぶようになっていた。「蛮族の国」と。
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