ヒューマンドラマ 短編

バイオ研究と漫画

ちくわドーナツ 2024/01/05 公開 2025/12/07 11:48 更新

あらすじ

「ねぇ、土日は普段、何してるの?」

 スズカ先輩は僕に聞いてくれた。

「わりと走るの好きなんで、よく家の近くをランニングしてて。家の近くに、川があるんですよ。そこを走ってて」

「そうなんだ。いつも研究室で研究してる姿しか見てなかったから、ちょっと意外だな」

 僕の方から昼飯に誘って、大学近くのデパートに入っている定食屋に来たにも関わらず、先輩の方から話を聞いてくれる。ほんと、なんて良い先輩なんだろう・・・。

「でも君、走っているわりには太ってるよね」

「え?」

 先輩は笑っていた。やっぱり、あまり良い先輩ではないかもしれない。

「先輩、来月、学会発表っすよね?資料とか、準備してるんすか?」

「うん。まだ実験データ纏めてるだけだけど」

「結果はもう出てるんですか?」

「うん。もう出てるよ。ちょうど一昨日、出たところ」

「すごいですね。まだ博士1年なのに、もう2本目の論文も出せるんじゃないですか?」

 僕は感心して言った。先輩は、うーん、まだかなぁ、と言いながら笑っていた。

 先輩は僕の2個上にあたる。僕は修士課程を卒業したら、就職しようと思っているけれど、先輩は修士課程から博士課程に進学して、まだ大学院で研究を続けている。

「そういえば、アカギ君も、この前良い実験結果出てそうじゃなかった?蛍光顕微鏡の前で喜んでるの見たよ」

「あ、そうなんですよ。なかなかうまくいかなかったんですけど、試薬変えてみたらすごくうまくいって。卒業論文にも使えそうなデータが取れました」

「よかったね。ずっとアカギ君が顕微鏡使ってるから、困ってたんだよね。あともうちょっとで怒ろうか悩んでたんだ」

「え、そうなんですか。いつも笑顔で顕微鏡譲ってくれてたのに・・・」

先輩は笑いながら、自分で頼んだ焼酎を吞んだ。

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