純文学 短編

   差出人のない手紙

堀本廣 2018/11/30 公開 2018/11/30 08:42 更新

あらすじ

 母の喪に服してものない頃、松本の元に差出人のない手紙が舞い込んだ。封を開いて、以前知り合った湯中淳の手紙と知る。
 彼の手紙には母の事が書かれていた。数年前に湯中淳が常滑にやってきたのは彼が幼児の時に行方不明になった母を捜すためだった。
 松本は聖書朗読会を通じて、湯中淳を知る。彼はクリスチャンである。湯中との付き合いは彼が常滑を去る日まで続いた。
 以下湯中の手紙
常滑を出た湯中は母を捜すために各地を転々とする。やがて大阪の住之江区で工藤という青年に遭う。
後日、彼の勧めで大坂の池田市に移る。そこでバーに勤務する7名の女性達が住むアパートの1室に工藤と共に住みつく。湯中の仕事は7人の女性達の食事を作ることだった。
 その女性達の紹介で京都の高級クラブに勤める高月八重子を知る。彼女もまたクリスチャンで、湯中と高月八重子は教会の聖書朗読会に出席する。2人は意気投合してやがて婚約し、高月八重子は妊娠する。
 そんな時、7人の女性達の情報により、とある病院に入院中の母の所在を知る。
母の病気は膠原病の末期症状だった。
 湯中の家は神戸の摩耶山の麓にあった。裕福な家庭で、格式のある名家で、父は厳格な性格。母は自由奔放で、湯中淳が5歳の時に家を飛び出して、東京へ出奔した。その時湯中淳の妹を宿していた。
 東京で高村政吉という男と結婚し、彼が死んだ後、妹の由利子を連れて大阪に引き移り、某会社の社長の2号として生活する。その後社長の死後、由利子は会社に勤務、やがて母は膠原病の為、病院に入院する。そして現在に至る。
 母が亡くなる1週間前に妹の由利子が見舞いの為に病院にやってくる。湯中淳がそこで見たものは婚約中の高月八重子だった。
 母が亡くなった後、2人は別れる。高月八重子=高村由利子は大阪を後に、湯中は実の妹との生活に、罪の意識にさいなまれ、死を選ぶ。

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11/02 0 ±0 2 ±0
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