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MU 2026/04/19 公開 2026/08/26 20:40 更新
深夜、空のオフィスで、書きかけのメールを打っていた。
戦略コンサルタント・高木稜、四十二歳。その日、十五年の相棒・神崎玲に偽造証拠で嵌められ、会社を追われていた。気がつけば、見知らぬ路地裏に立っていた。
──異世界、アウレリア王国。
千年前に隣国ハーゲン帝国に敗れ、属国として生きてきた小さな国。毎月、民は徴用令で鉱山へ送られ続けてきた。属国条約の更新が、半年後に迫っていた。王宮の広場で、若き王レオンは、三日眠らずに動けずにいた。署名しても、拒んでも、国は壊れる。
稜は、広場に割り込んだ。
「陛下。──三つの案を持ってくる参謀を、信用してはいけません」
契約料、銀貨五枚。こうして稜は、アウレリア王国の参謀となった。
王女セレネ、書記官助手ロッテ、冥書庫の少年クロヴィス、元傭兵ブラン。四人の若き弟子と共に、稜は千年の条約の、書き直しを始める。
契約の翌月、深紅の封蝋の書状が届く。
差出人は──ハーゲン帝国宰相、神崎玲。
前世で、稜を嵌めて、葬った男。
「青の街道の村、月影亭にて、お待ちしております。
──稜。この世界でも、逃げるなよ」
二人の参謀の、千年を巡る対局が、始まる。
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