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滝川誠 2021/05/12 公開 2021/05/30 10:45 更新
僕を抜き去っていった選手はあまりにも冷酷だった。僕の走りなんて眼中にないとでも言うように、あっという間に置いて行ってしまった。
その選手の名前は新藤孝樹。
東京からの転校生だった。
新藤は全国でもトップを走る選手だった。
その新藤が島の高校に進学すると聞きつけた僕は、中学からの戦友の賢人と一緒に、彼と同じ学校に進学する事を決意した。彼がいたら夢が叶うかもしれないと思って。
僕の夢は全国高校駅伝に出場して都大路を先頭で走る事だった。
僕らの県は駅伝が爆裂に弱い。いつも最下位争いをするぐらいだった。
それもあって僕らの島で駅伝はあまり人気なスポーツじゃない。本気で駅伝をやっている人なんて全然いない。
部員は僕らを含めて7名。
僕はその中でも一番遅かった。憧れの新藤に追いつくなんて夢のまた夢だった。それでも諦めずに僕は練習に励んだ。
妹に笑われても、ペットの犬に馬鹿にされても、僕はめげずにトレーニングを続ける。
皆に追いつくために。
少しでも新藤の背中に近づくために。
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