純文学 連載中・全2話

僅差の農耕から都市へ

ツナ川雨雪 2022/02/06 公開 2022/08/28 20:20 更新

あらすじ

          僅差の農耕から都市へ
 斜光が、目にしみる昼、鍬が土に打たれている。日は頭上に昇り、頭部に水気をさそい、そんなに少なくはない髪が体温調節の結果起こる水滴の発生と滴りのせいで、熱い熱いと呻き声を上げる。慣れっこになり無感覚のはずな身体がそうではないことを告げ、貧弱な人間本体に怒りを覚える。そもそも、土と戯れる仕事に、楽しみや快楽などは感じたことはない。時間感覚など曖昧なものしか有していないのにもかかわらず、ちっぽけな人間の男に、この世界を支配する時間という完全無欠の絶対主義者は、一日のうちで一番つらい労働を課した。生暖かい地面が、意識を朦朧とさせる。突如として視界がゆらりふわりと揺れた。視機能の異常は今に始まったことではない。ふわりふわりと陽炎のように、土中から噴出した熱気が透明の膜を浮かび上がらせ、時折、球状の暑さの塊が目の中に飛び込んでくる、そんな視感覚を持たせる。

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