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寿 明結未(ことぶき・あゆみ) 2026/04/16 公開 2026/04/16 20:20 更新
俺の名はロルバート・フォジャー。
金も地位もない、しがない伯爵家の跡取りだ。
そんな俺の平穏な学園生活は、ある「断罪劇」で崩れ去った。
王太子が、公爵令嬢クラリス・セパレールドとの婚約を破棄し、
派手なピンク髪の令嬢を抱き寄せて叫んだのだ。
──「真実の愛を見つけた」と。
だが俺にはわかる。あれが“偽り”であると。
生まれつき俺には「真実の愛を見抜くスキル」がある。
本物の愛なら光り輝くハートが見えるが、
あの二人のハートは、どす黒く濁っていた。
無実の罪を着せられ、心を疲弊させたクラリスのハートは
青くしぼみ、今にも消えそうだった。
せめて少しでも癒やしたい──そう思い、
私市で偶然再会した彼女に、屋台のクレープを差し出した。
甘い香りに顔をほころばせるクラリス。
その小さな笑みに、かつての輝きが戻り始めた。
だが、翌朝。
「お前、何かしたのか!?」
父の叫びで目を覚ます。
なんと、セパレールド公爵家から俺への縁談が届いたというのだ。
相手は、あのクラリス。
理由もわからぬまま、俺は婚約を受け入れた。
貧乏貴族の俺にできるのは、
彼女を「偽りの愛」から守ることだけだと思ったからだ。
だが婚約発表の日、あの王太子とピンク女が再び現れる。
「貧乏伯爵にすがるとは落ちぶれたな!」
嘲笑する二人に、クラリスは涼しい顔で返した。
「義務の婚約より、真心の愛のほうが素敵ですもの」
その瞬間、彼女のハートは真紅に輝き──
俺の胸にも、眩い光がともった。
かくして、真実の愛を見抜く男と、
偽りの愛を見限った令嬢の奇妙な婚約生活が始まる。
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